電話番号
精神障害・発達障害のある方向け仕事のお悩みQ&A

就労移行支援・就労継続支援A型/B型の違いとは?それぞれどんな人向きかも解説

仕事のお悩みQ&A
投稿日:2023年8月10日

メンタル面の不調や障害で仕事を見直したいとき、あるいは不調や障害を乗り越えて仕事を始めたいとき、利用できるのが「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」です。しかしそれぞれの違いがわかりにくいのではないでしょうか。

この記事では、就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型の違いやそれぞれのメリット・デメリット、どんな人が向いているかについてまとめます。どれを選んだらいいか悩んでいる方はぜひお読みください。

就労移行支援・就労継続支援A型/B型の違い

就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型について、利用にかかわる特徴やそれぞれの異なる点について、表でまとめます。なお、以下の本文中では基本的に上記3つのサービスを順に「移行支援」「継続支援A」「継続支援B」と表記します。

ごく大まかに違いを言うと、移行支援は就職のための訓練を行う場所、継続支援A・Bはサポートを受けながら働く場所です。継続支援AとBの違いは、自由度と賃金の平均額です。詳しくは後述します。

これらのサービスは同時に併用することはできませんが、いずれかから別のサービスに切り替えることは可能です。

なお、上記3つとは別に「就労定着支援」というサービスもあります。就労定着支援は、障害を持つ人が就職した後に働き続けるためのサポートを受けられるサービスです。

就労移行支援とは

移行支援は、イメージとしては就職するための訓練学校のようなサービスです。ビジネススキルやコミュニケーションスキルのトレーニングや学習などを行います。

就職が目標なので、利用できる期間が定められています。基本的に2年までですが、6か月程度で就職が決まる人もいます。なお2年を超えても、必要性が認められれば1年延長が可能です。通うペースは利用者の方のペースに合わせて週1~5回程度です。

学校のイメージの通り、移行支援は「学ぶ」場所であり「稼ぐ」場所ではありません。そのため利用している間は賃金がもらえません。ただし事業所によっては、収入を得ることによる達成感や充実感を体験してもらうために賃金を払うところもあります。

就労継続支援A型とは

継続支援Aは、障害のある人が配慮を受けながら働けるサービスです。その点では障害者枠や特例子会社と共通していますが、成り立ちなど様々な点が大きく異なります。

移行支援と比べると、継続支援Aは給与がある点が大きな違いとなっています。さらに雇用契約があるのが継続支援Bとの違いです。継続支援Aは雇用契約があるため、終身雇用的な側面があります。さらに雇用契約により最低賃金が守られるのも特長です。

ただし、雇用契約があると言っても正社員でなく契約社員からのスタートが多く、労働時間も短く抑えられてしまう傾向があります。月の平均労働時間は90時間弱です。

主な仕事の例としては、データ入力、梱包、飲食店の接客、部品加工などがあります。事業所により仕事の内容が異なるので、利用を検討する際は事業所ごとに仕事内容を確認しましょう。

なお継続支援Aは本来利用料がかかりますが、世帯収入による規定により9割程度の人は無料で利用することができます。事業所が利用料を負担しているケースもあります。

就労継続支援B型とは

継続支援Bも、障害のある方がサポートを受けながら働いて収入を得ることができるサービスです。賃金(正確には継続支援Bでは作業量に対する成果報酬「工賃」)がもらえるのは継続支援Aと共通ですが、金額は継続支援Aより大きく下がるのがふつうです。これは継続支援Bには雇用契約がないことによります。工賃は出来高の場合と、1日〇円のような定額の場合とがあります。

契約がないぶん自由度が高いため、まだメンタルなど不安定な人が利用するケースが多くあります。平均労働時間は月70時間程度ですが、事業所によって条件が異なるので確認が必要です。

また継続支援Aが就労中心なのに対して、継続支援Bはリハビリ・訓練という側面もあります。仕事は軽作業が中心で、お菓子・パン作り、農作業、清掃・クリーニング、アクセサリー作り、梱包発送や出荷補助などがあります。外部に出向いて働く場合と事業所の敷地内で働く場合とがあります。

近年はさらに、オフィスワークスキルや、マンガ・アニメにもかかわるWebスキル・デジタルスキルが学べる事業所も出てきています。工賃をもらいつつ新たなスキル習得やトレーニングができるのが魅力です。

利用には本来利用料金が必要ですが、継続支援Aと同様に全体のうち9割程度の人は無料で利用できます。無料となるのはおおむね世帯収入300万円以下が目安です。

それぞれのメリット・デメリット

次に、移行支援・継続支援A・継続支援Bについてそれぞれのメリットとデメリットについて確認していきましょう。順に見ていきます。

就労移行支援のメリット・デメリット

移行支援のメリットとしては、次の点が挙げられます。

  • スキルアップができる
  • 一般企業も選択肢にできる
  • 失業保険をもらいながら利用できる
  • 障害者手帳がなくても利用できる

仕事の選択肢を増やしたり将来に向けた可能性を高めたりすることができる点、多くの人が利用しやすい点がメリットです。対して、デメリットは次の通りです。

  • 基本的に収入は得られない
  • 一定期間通所する必要がある
  • 基本的に利用できるのは2年まで

働く場所ではなくあくまで学ぶ場所だということが、すぐに収入を得たい人にとってはデメリットとなるでしょう。

就労継続支援A型のメリット・デメリット

継続支援Aのメリットとしては、次の点があります。

  • 収入は3つのサービス中では最も高い(月額平均8万円前後)
  • 必ずしも障害者手帳は必要でない
  • 利用期限がない

多くの収入が得られる点、利用しやすい点がメリットです。対して、デメリットは次の点です。

  • 人気のため競争率が高く、空きがないこともある
  • 精神的に安定している人が優先される
  • 一般企業への就職など、状況が変わった時の対応がしにくい
  • 社会保険・雇用保険の対象になるほどは働けないことも多い
  • 雇用保険をもらいながら利用するのは難しいケースもある

参考に、雇用保険の対象となるのは週20時間以上、31日以上の雇用が見込まれる場合です。継続支援Aは利用しやすく収入にもなるがゆえに、実際の利用に関しては思い通りにならない面があるのがデメリットです。

就労継続支援B型のメリット・デメリット

継続支援Bのメリットは次の通りです。

  • 勤務体系の自由度が高く、自分のペースで働ける
  • 長く働き続ける人を受け入れているケースも多い
  • 雇用手当を受け取りながら利用できる
  • 障害者手帳も必ずしも必要ではない
  • 利用期限がない
  • 事業所の数が多く、いろいろな事業内容のところがあるので選びやすい

雇用保険を受け取れる条件は、1日の労働時間が4時間以内、週20時間以内です。なおそれ以上でも、継続支援Bは雇用契約がないため就労準備扱いとなり雇用保険を受け取れる場合もあります。ハローワークに確認しましょう。また継続支援Bの事業所の数は、移行支援や継続支援Aの約4倍となっています。

次に継続支援Bのデメリットを挙げます。

  • 収入が低い(平均時給230円前後 月額平均1万5,000円前後)
  • 社会保険・雇用保険の対象外になる

継続支援Aより自由度は高いのですが、そのぶん収入面では劣ります。

移行支援・継続支援A/B選び方のポイント

収入を得たいのか、それとも就職の準備をしたいのかが、サービスを選ぶ際の大きなポイントです。収入を得たいなら2つの継続支援のどちらか、準備を希望するなら移行支援を選ぶことになります。

継続支援AとBのどちらにするかは、判断が難しいところです。少しでも多くの収入を得たい人がほとんどでしょうが、自分の状態によっては希望通りになりません。まずは作業の内容、時間・日数・賃金などの条件を確認しましょう。内容や条件が自分の特性・状態に合っているところを選びます。仕事内容も条件も事業所によって異なるので、候補の事業所を見て判断する必要があります。

そのほか、どのサービスにしても雰囲気になじめそうかが大切です。障害を抱えている方にとっては、ある意味では最も大切と言えるかもしれません。実際に見学して判断しましょう。

それぞれに向いているのはどんな人?

どんな人がそれぞれのサービスに向いているかについてまとめます。ただし個々の事業所を見て考えるべきことでもあり、以下はあくまで一般的な傾向・目安です。以下の順で解説します。

就労移行支援に向いている人
就労継続支援A型に向いている人
就労継続支援B型に向いている人

では具体的に見ていきましょう。

就労移行支援に向いている人

移行支援に向いている人は、次のような人です。

  • すぐに働かなくてもいい人
  • 一般企業や特例子会社を希望する人
  • 障害者が働くとき求められる「職業準備性」のうち、基礎となる健康管理・日常生活管理・対人技能(・基本的労働習慣)を鍛えておきたい人

まとめるなら、すぐに収入が得られなくとも将来のためにスキルアップして条件の良い企業で働きたい人だと言えるでしょう。給与などの待遇がよくなるほど、求められるものも高度になります。身に付けるべきものは増えますが、より好待遇を希望するなら移行支援が適しています。

就労継続支援A型に向いている人

継続支援Aに向いているのは次のような人です。

  • スキルアップよりも働きたい人
  • すぐできるだけ多くの収入を得たい人
  • 比較的状態が安定している人
  • 移行支援を受ける準備をしたい人

まとめると、今すぐできるだけ多くの収入を得たい人だと言うことができます。また継続支援Aは競争率が高いぶん、状態が安定していることも求められるでしょう。さらに、まず継続支援Aを利用して移行支援を受けて、より好待遇の職場へとステップアップしていきたい人にも向いています。

就労継続支援B型に向いている人

継続支援Bに向いている人は、次のような人だと言えるでしょう。

  • 収入を得たいが不安定さが残る人
  • 少額でもいいので収入を得たい人
  • 少しずつ仕事に慣れたい人
  • 65歳以上の人

状態が不安定な人は、継続支援Bからスタートするのがおすすめです。とくに最近は、仕事上のスキルをトレーニングしてくれる事業所も増えています。そのような事業所が近くにあれば、継続支援Bでもスキルアップを図り将来の収入につなげることができるでしょう。

まとめ

就労移行支援、就労継続支援A型・B型はそれぞれ特徴があるので、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。またサービスの種類だけでなく事業所による違いも大きいため、近隣の事業所を実際に見学することをおすすめします。

サービスの内容や条件、雰囲気や交通手段やかかる時間に至るまで、いろいろな面から検討して納得できる場所を見つけましょう。

就カレワークスをもっと知りたい方へ

就カレワークスの求人を医療介護求人サイト「ジョブメドレー」に掲載中!

日本最大級の医療総合求人サイト ジョブメドレー 日本最大級の医療総合求人サイト ジョブメドレー

就労継続支援B型事業所  就カレチャレンジ

お問合せ・見学予約カウンセリング受付