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【双極性障害とお仕事】続かない、行きたくないを解消!おすすめの仕事と休まないコツ

双極性障害の仕事の悩み
投稿日:2023年10月10日

双極性障害でも、注意と治療を怠らなければ仕事を続けることができます。双極性障害の人を対象にしたアンケートの中には、6割が働いており、うち3割は正社員という結果のものもあります。ただし再発しやすいほか自己判断で治療をやめてしまうケースがあるなど、いくつかの点で注意が必要です。

この記事では、双極性障害の特性に向いている仕事や続けるためのポイントについてまとめます。双極性障害で仕事の悩みがある方はぜひ参考にしてみてください。

双極性障害の人向けの仕事・職場の特徴

双極性障害の人向けの仕事や職場の特徴について解説します。以下の特徴が挙げられます。

  • 服薬・通院などで配慮を受けられる
  • 仕事の量の変動が少ない
  • 勤務時間が大きく変わらない
  • 人との関わりが少なく一人の作業が多い

大まかには、定型的な仕事の方が向いていると言えます。それでは1つずつ見ていきましょう。

服薬・通院などで配慮を受けられる

まず、服薬や通院などについて配慮を受けられることが挙げられます。当事者の満足度が高い職場の第一の条件は理解があることです。とくに双極性障害は、長期的な通院や服薬が必要なため、理解してもらえることはほぼ必須です。もっとも大切なポイントだとも言ってもよいでしょう。

躁状態など症状が出ているときの配慮もあると大きな助けになります。障害者雇用やオープン就労の方が配慮は受けやすいため、完治していないのであればそちらの方が安心です。

仕事の量の変動が少ない

仕事量の変動が少ないことも、双極性障害に適している仕事の特徴だと言えます。双極性障害の場合、躁状態とうつ状態の仕事量のギャップを少なくすることが大切です。躁状態のときに無理をしてしまうと、うつ状態になったときにうつの程度がひどくなってしまうからです。

そのため躁状態のときは仕事を抑え気味にする必要があります。仕事量の変動が少なく一定量で安定している方が、ペースを守りやすく双極性障害の人に向いています。

勤務時間が大きく変わらない

勤務の時間帯も変化が少ない方が適しています。交代制などのように勤務の時間帯が変わると、生活が不規則になりがちです。生活のリズムが変動すると状態が転じやすくなります。交代制でなくとも夜勤のみの勤務も避けた方が無難でしょう。躁転する可能性があります。

同じペースを守れる状態づくりのために、勤務時間の長さも一定している職場がおすすめです。具体的には、残業など長時間労働が少ない、休日出勤がないといった職場です。

人との関わりが少なく一人の作業が多い

人との関わりが少なく、一人の作業が多いというのも双極性障害向きの仕事の特徴です。一定の仕事量を保ちやすくなるほか、自分のペースで仕事ができるようになります。

相手のある接客や営業などは、人とのやりとりや交渉などが必要になります。そのせいで突発的な対応などが必要になりがちです。双極性障害の場合はあまりおすすめできません。

双極性障害の人におすすめの仕事

より具体的に、双極性障害の人におすすめの仕事・職種をまとめます。具体的には次の職種が挙げられます。

  • 事務職
  • ライター・デザイナーなど
  • 軽作業・清掃
  • 農林水産業

ただし、人により得意なこと・苦手なことがあったり、状態も千差万別です。上記の仕事はあくまで一般的な例になります。それでは、1つずつ見ていきましょう。

事務職

まず1つ目に、事務職が挙げられます。書類の作成や整理などオフィスワーク全般を行います。総じて比較的仕事量が安定している点が双極性障害向きです。また接客などに比べ対人の業務も少ない点も適しています。

なお、さまざまな部署で事務作業があるため、事務にも一般事務・総務事務・経理事務などいろいろな種類があります。部署や事務の種類にもよりますが、電話応対や来客対応などない方がより自分のペースで進められるでしょう。

ライター・デザイナーなど

次にライターやデザイナーなどの仕事も挙げられます。ライターは、指定された内容についてリサーチして主にウェブ向けの記事にまとめます。デザイナーは、オーダーの内容に合わせてウェブサイトやチラシなどをデザインします。

いずれも一人での作業が多い点が適しています。在宅でできるなら、より一層人との関わりが少なくて済むでしょう。

とくにフリーランスなら業務量をコントロールしやすいのもメリットです。ただしフリーランスの場合、躁状態のときに働き過ぎてしまう可能性があるので注意しましょう。

軽作業・清掃

コンピューターを使ったりオフィスで働いたりすることが苦手な場合は、軽作業や清掃も選択肢になるでしょう。軽作業には、工場での組立作業、倉庫での梱包やピッキング、スーパーマーケットのバックヤード作業などがあります。

いずれも仕事の量が安定しており、一人での作業が多い点が双極性障害に向いています。ただし清掃は勤務時間に注意が必要です。店舗などの場合、営業終了後の遅い時間帯になることもあります。

農林水産業

農業・林業・漁業など、農林水産業も双極性障害に向いています。従事している当事者の満足度は高い傾向があります。都市部では働き口を見つけるのは難しいかもしれませんが、地方なら検討してみてもよいでしょう。

農業など、一人作業が多い点が適しています。ただし作物など旬の時期は繁忙期となり、業務量にムラができる可能性もあります。

仕事に行きたくないとき・休みがちになりそうなときの対処法

次に、仕事に行きたくないときや休みがちになりそうなときの対処法についてまとめます。休みたくなるのはうつの状態のときです。基本的には、日記や記録をつけて気分の波を客観的に把握してトラブルを予防するようにします。

以下は予防しきれなかったときに職場で行える対処方法です。ここでは次の3つの方法について解説します。

  • 気分転換やストレス解消の工夫をする
  • 仕事の内容・量を気分の波に合わせて調節する
  • 業務をマニュアル化する

1つずつ見ていきましょう。

気分転換やストレス解消の工夫をする

まず気分転換やストレス解消の工夫をすることが挙げられます。職場の環境づくりでの工夫としては、次のような方法があります。

  • 好きなものを身の回りに置く
  • 好きな飲み物や音楽でリラックスする
  • 仕事の後のご褒美を用意する

気が進まなくても、上記のような環境を整えておけば出勤しようという気持ちになるかもしれません。ただし内容によっては、あらかじめ周囲の理解を得ておいたり迷惑にならない程度に抑えたりしましょう。

以下は、仕事中に気分をコントロールするための方法の例です。

  • 躁状態になりそうだったらあえて休憩する
  • リフレッシュのため休憩をマメに挟む

気持ちの波に合わせて休憩することが大切です。

仕事の内容・量を気分の波に合わせて調節する

次に、仕事の内容や量を気分の波に合わせて調節するという方法です。躁のときはやりすぎない、うつのときは無理しないのが基本的な考え方になります。

躁状態の仕事量を意識的に抑えることが重要です。うつ状態になったときに程度がひどくなってしまうからです。逆にうつのときは、単純作業など無理しなくてもできる作業を中心にして乗り切りましょう。

業務をマニュアル化する

また、業務をマニュアル化しておくことも有効です。とくにモチベーションが上がらないうつの状態のときに効果があります。

業務をマニュアル化しておくとマニュアルに沿って作業するだけで業務が進み、細かい判断をすることが不要です。その結果、手順を守ることに集中でき、不安感を抑えて仕事がしやすくなります。

普段から心掛けるべきこと

次に、双極性障害の人が仕事を続けるために普段から心掛けておくべきことについて解説します。以下の次項が挙げられます。

  • 通院・投薬を続ける
  • 気分の波と変化のサインを把握する
  • 第三者の意見を受け入れる
  • 規則正しい生活を送る

1つずつ解説していきます。

通院・投薬を続ける

まず第一に、継続的に通院・投薬を続けることが大切です。双極性障害は治療に時間がかかるためです。途中でやめてしまうと治るものも治らなくなってしまいます。

後ほど述べるように、快方に向かっていると感じても自己判断は禁物です。医者が必要と言う間はやめずに通院も薬も続けるようにして、やめるタイミングは医者に従いましょう。

気分の波と変化のサインを把握する

気分の波と変化のサインを把握することも日常的に行いましょう。さまざまな場面で役立つからです。

日記や記録をつけることで流れを把握しやすくなります。躁になるときのサイン・うつになるときのサインが自分でわかっていると、状態が変わる前に対処しやすくなります。

また周囲の理解を得るためには、病気であることや症状について説明できるようにしておくことも大切です。たとえば、躁状態のときにはこなせる以上に仕事を受けてしまうことがよくあります。あらかじめその点を伝えておけば、相手もそれを踏まえて対応してくれます。

第三者の意見を受け入れる

何かを判断したり決めたりするときには、第三者である医者や家族の意見に耳を傾けたり、受け入れたりするようにしましょう。

とくに躁状態のときは、気が大きくなって自己判断しがちです。正確に判断ができるならよいのですが、残念ながら多くは独りよがりな判断になってしまいます。しかし第三者の意見を聞くことで、客観的な判断ができるようになります。通院・服薬も勝手に自分の判断でやめたりしてはいけません。

規則正しい生活を送る

さらに普段から規則正しい生活を送るよう意識しましょう。生活リズムが不規則になると症状が悪化したり、落ち着いていたのに再発したりする可能性があります。

具体的には、睡眠・食事・活動の時間帯を一定にします。また睡眠を妨げる可能性のあることは避けましょう。とくに睡眠前は注意が必要です。スマホ、カフェイン・アルコールなどはやめておいた方が無難です。

さらに、日中に日光を浴びる時間を作るとなおよいでしょう。適度な運動もおすすめです。

確認|双極性障害とは

最後に、双極性障害について確認します。双極性障害とは、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気のことです。以前は「躁うつ病」と呼ばれていましたが、現在は双極性障害と呼ばれます。うつ病とは別の病気です。

100人に1人弱、0.4~0.7%の割合で発症するとされています。うつ病より遺伝の割合が高いと言われていますが、親類にいなくても発症する例もあります。

以下で、症状や治療について解説します。

双極性障害の症状

双極性障害は、すでに述べたように躁状態とうつ状態が交互に現れる病気です。入れ替わる周期は、初めは年単位ですが「急速交代型(ラピッドサイクラー)」になると1年のうちに4回以上状態が入れ替わります。ただし期間は個人差があるほか、同じ人でもいつも同じ周期とは限りません。

躁状態のときは高揚感で活発になり、ほとんど眠らずに活動することもあります。気が大きくなり、ギャンブルや大きな買い物で散財してしまうことも。自覚なしに自信過剰になったり怒りやすくなったりして、対人関係を壊してしまうこともあります。

うつになると逆に無気力になります。食欲の低下、眠れない、逆に起きていられないなどの症状が現れます。

両者の間の移行期には、それぞれの症状が同時に起こる「混合状態」になることもあります。自殺の危険性が高い時期とされるので注意が必要です。

Ⅰ型とⅡ型

双極性障害は、躁状態の特徴でⅠ型とⅡ型とに分けられます。それぞれの特徴は次の通りです。

  • Ⅰ型…激しい躁状態とうつ状態を繰り返す。差が大きい
  • Ⅱ型…軽い躁的な状態(軽躁状態)とうつ状態を繰り返す。躁状態の程度がⅠ型より軽い

Ⅰ型の躁状態は、日常生活に悪影響を及ぼすほどの激しい状態です。Ⅱ型の躁状態はわかりにくいため、うつ病と誤診されることもあります。

双極性障害の治療

双極性障害の治療は、服薬とリハビリテーションを両輪で行います。

薬は、気分安定薬や非定型抗精神病薬を主に用います。うつ病の薬と双極性障害のうつ状態のときの薬は異なります。処方を守ることが大切です。

リハビリテーションは、心理教育ともいわれる内容です。疾患を学習して理解することで、病気を受け入れてコントロールすることが目的となっています。

寛解したように見えても再発することがあるため、継続的に治療を行うことが大切です。

まとめ

双極性障害は、適切に対応すれば仕事を続けることができる病気です。職場でも日常生活でも工夫や努力を積み重ねることで、病状をコントロールして安定した状態を保つことができます。その結果、仕事も続けられるでしょう。

しかしそれは職場の理解にも大きく依存します。職場には理解を求めましょう。新しく仕事を探す場合は、障害者雇用が理解を得やすくメリットが多いと言えます。お互いのためにも、続けられる環境を作ったり探したりしましょう。

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