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統合失調症と仕事について知っておくべきこと|おすすめの仕事と仕事探しのポイント・方法

統合失調症の仕事の悩み
投稿日:2023年2月26日

自分や家族が統合失調症になった場合、どうしても立ちはだかる問題は仕事です。どうやって生活していくか、どうやって収入を得るかは考えて備えておかなければならない問題です。しかしなかなか自分の知りたい情報が見つからないものではないでしょうか。

この記事では、統合失調症の方と仕事について、多くの人が知りたいと思っている内容についてまとめます。ぜひ参考にしてみてください。

統合失調症の人の仕事の悩み

初めに、統合失調症の場合、どんな仕事の悩みがあるか確認しておきましょう。悩みの種類は次の2つに大きく分けることができます。

  • 仕事が続かない
  • 仕事ができない

それぞれについて見ていきます。

悩み|仕事が続かない

初めは、仕事が続かないという悩みについて解説します。原因はいくつかあります。

まず1つ目の原因は、陽性症状の幻聴や幻覚などです。職場の人に陰口を言われているなど被害妄想を感じて、人間関係がうまくいかなくなってしまうケースがあります。それが原因で職場にいづらくなると、結局退職を余儀なくされてしまいます。

また、陰性症状により意欲が低下してしまうことも仕事が続かない原因となります。仕事をする気になれず無気力な状態が続き、仕事のパフォーマンスが下がり会社にいられなくなってしまいます。

悩み|仕事ができない

仕事をやろうと思っているのに仕事ができなくなってしまうという悩みもあります。

統合失調の場合、認知機能障害などによって集中力や思考力が落ちてしまうことがあります。そのせいで仕事の能率が上がらず、仕事が進まない、仕事ができないという状態になってしまいます。

また統合失調症の人の中には、疲れやすくなる人もいます。その場合、すぐ消耗してしまって体力的にきつくなる、欠勤や遅刻などしがちになるという影響が出てしまうことがあります。

統合失調症に向いている仕事・おすすめの仕事

それでは統合失調症の人に向いている仕事とは何でしょうか。おすすめの仕事をいくつかご紹介します。この記事では次の仕事について解説します。

  • 事務
  • 軽作業
  • 商品管理

1つずつ見ていきましょう。

おすすめの仕事|事務

事務職は統合失調症の方にも比較的やりやすい仕事です。就労している統合失調症の人の多くが事務職として働いています。一口に事務と言っても経理事務や営業事務などいろいろな種類がありますが、とくに「一般事務」がおすすめです。

一般事務はデータ入力や書類の作成・整理、郵便物の仕分けや発送などを行います。来客や電話の応対もありますが、デスクワークが中心で業務の量も比較的安定しています。コンピューターを使う必要がありますが、ExcelやWord・メールソフトなどの基本操作ができれば問題ありません。

おすすめの仕事|軽作業

軽作業も統合失調症の人におすすめです。軽作業にはいろいろな種類があります。倉庫でのピッキング(収納してある部品や商品を集めてくる)や梱包、工場での簡単な組み立てや検査などがあります。

多少体を使ったり立ち仕事だったりする場合もありますが、重いものを扱うことなどはありません。作業の内容もシンプルなものが多いので細かな判断が不要です。コミュニケーションが必要となる場面も少なく、勤務しやすいでしょう。

おすすめの仕事|商品管理

軽作業に含む場合もありますが、商品管理もやりやすい仕事の1つです。スーパーマーケットや量販店などのバックヤードや店内で、入荷した商品や在庫の数を確認したり品出しや棚卸を行います。ハンディターミナルなど、コンピューターと連動した機械を使うこともあります。

商品管理も人と接する必要があまりない仕事です。商品の名前を覚えたり商品知識を身に付ける必要はありますが、作業自体はシンプルです。1人でこなすことができて人とのやり取りもほぼ不要で、統合失調症の人にもおすすめです。

統合失調症でも働きやすい職場環境

統合失調症の人が仕事を続けるには、仕事内容だけでなく職場の環境も重要になります。次に、統合失調症でも働きやすい職場環境とはどんなものかについて解説します。具体的には次の2点が挙げられます。

  • 統合失調症への理解がある
  • 統合失調症の特性に合っている

1つずつ見ていきましょう。

働きやすい環境|統合失調症への理解がある

統合失調症への理解のある職場は、とても働きやすい環境だと言えます。統合失調症にはいろいろな症状があり、中には仕事にはマイナスとなるものもあります。そのため、そういった症状も理解しつつ対処してもらえると働きやすさが高まります。

わかりやすい例では遅刻しがちになることや仕事のスピードが下がることがあります。そういう症状が出たときも許容してもらえてよかった、という経験者の意見があります。また体調が悪くなったときに別室で休ませてくれて助かった、という人も多くいます。

働きやすい環境|統合失調症の特性に合っている

仕事の内容や勤務形態などが統合失調症の特性に合っていることも働きやすさにプラスとなります。先におすすめの職種をご紹介しましたが、それ以外にも特性に合っている仕事はあります。

たとえば、思考力や集中力が落ちたり体調が悪くなることがあります。細かい判断が不要な仕事であれば、そういった不調のときでもどうにかこなすことができるでしょう。また不調な時は休めるなど、出勤を調整できる職場も働きやすい環境だと言えます。仕事ができないと感じることを減らせるでしょう。

統合失調症の仕事探しで決めておくべきポイント

統合失調症の人が仕事を探す場合、あらかじめ決めておくべきポイントについてまとめます。次の点が挙げられます。

  • オープンかクローズか
  • 一般求人か障害者枠か
  • フルタイムか短時間か

それぞれについて見ていきましょう。

ポイント|オープンかクローズか

まず統合失調だという事実をオープンにして探すか黙ってクローズにして探すかという点があります。おそらく多くの人がどうしようか考えるポイントでしょう。

オープンの方が職場の理解を得やすいので安心です。ほかの条件が許すであればオープンにすることをおすすめします。

クローズは求人の数が多く、オープンより条件の良い案件が多いのがメリットです。しかし就職してからは配慮してもらえず、基本的にはそのままの状態で仕事を続けなければなりません。仕事がつらいと感じる可能性があります。

2010年の調査「精神障害者の雇用促進のための就業状況等に関する調査研究」(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障碍者職業総合センター)によると、障害者手帳を持っているとオープン就労、持っていないとクローズ就労を選ぶ傾向があるようです。

ポイント|一般求人か障害者枠か

一般求人で働くか障害者枠で働くかもポイントになります。働きやすいのは障害への理解がある場所なので、障害者枠がおすすめです。仕事がつらいと感じるのを減らすことができるでしょう。

ただし障害者枠は働きやすい環境が整っている反面、給与など条件面で一般求人に劣るケースが多くあります。一般求人は、先述したように配慮が受けられませんが、障害者枠より給与がよいのがふつうです。

上記の2010年の調査の結果を見ると、手帳を持っている人は障害者枠を選ぶ傾向があります。

ポイント|フルタイムか短時間か

フルタイムで働くか短時間にするかもポイントです。なお一般求人の正社員の場合はフルタイムが基本です。そのため短時間を選ぶなら、クローズなど一般求人希望でもパートやアルバイトなど非正規雇用ということになります。同じように、週に働く日数を少なめにしたい場合も非正規雇用になります。

疲れやすい人には短時間がおすすめですが、8時間以上のフルタイムやフルタイムに近い6時間以上働いている人も多くいるという調査結果もあります。ただし逆に、ほかの精神障害よりも統合失調症の方が労働時間が短いという結果が出ている調査もあります。

統合失調症の仕事探しや就職の方法

次に、統合失調症の仕事探しや就職の方法についてまとめます。方法として利用できる主なサービスには次のものがあります。

  • 地域障害者職業センター
  • ハローワーク
  • 求人サイトなど
  • 就労移行支援施設

1つずつ見ていきましょう。

仕事探しや就職の方法|地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、各都道府県に1か所(一部の都道府県は2か所)ずつ置かれている公的な施設です。さまざまな活動をしていますが、障害者に対しては専門的な職業リハビリテーションサービスを行っています。「仕事ができない」という不安を減らすのに役立ちます。

現状の職業能力を分析して職業評価を行い、職業リハビリテーションの方針を決定します。その方針に基づき、各種支援を行っていきます。仕事探しそのものというよりはその前の準備段階に役立つ施設ですが、就労を希望する統合失調症の人が100%利用しているという調査もあります。

仕事探しや就職の方法|ハローワーク

ハローワークは広く仕事探しに役立つ施設ですが、障害者枠の求人を探すときの定番でもあります。障害者専門の窓口があり、専門知識のある支援員もいます。職業相談はもちろん、履歴書のアドバイスなどの支援も受けることが可能です。一定期間試行雇用し継続雇用につなげる「障害者トライアル雇用事業」などのサービスもあります。

登録時はハローワークに出向く必要がありますが、求人のチェックはスマートフォンや自宅のコンピュータでも可能です。

仕事探しや就職の方法|求人サイトなど

求人サイトはさまざまなサービスがあり、それぞれに特色があります。一般求人の求人サイトは案件の件数が多いのがメリットです。

そのほか、障害者向けの求人案件だけが掲載されている障害者専門の求人サイトもあります。障害者雇用を進めている企業の求人案件を紹介してくれる障害者専門の転職エージェントのサービスもあります。

障害者向けのサービスはそれぞれ得意分野があったり求人数がハローワークに比べて少なかったりするので、いくつかのサービスを併用するのがおすすめです。どれも無料で利用できます。

仕事探しや就職の方法|就労移行支援施設

就労移行支援は、障害者が一定期間通所して就労のための指導や実習を受けられるサービスです。対人スキルや就労に役立つスキルを身に付けることができます。1人ひとりに合ったサポートが可能です。

就労移行支援のネットワークを通して紹介を受けられる仕事もあります。地元企業の障害者雇用の情報も蓄積されていることが多く、地元で仕事を探す際に役立ちます。有料ですが自己負担は1割で、条件によっては無料で利用することもできます。

統合失調症で働いている人の割合

調査にもよりますが、統合失調症で働いている人の割合は15~20%とされています。母数が少ない調査ですが、割合が10%を切っている調査もあります。いずれにせよ低めの数字だと言えるでしょう。実際に、統合失調症はほかの精神障害より仕事を続けるのが難しいとされています。先進国では統合失調症の人が通常の就労を維持できるのは1割前後まで、という考えが示された研究もあります。

しかし先述の2010年の精神障害者の就労についての調査では、求職者数・就職者数とも全精神障害者の半数近くを統合失調症患者が占めています。就労への意欲は高いけれども、現実問題として続けるのが難しい人が多いことの表れだと言えるでしょう。

ただし統合失調症自体は、しっかり治療すれば症状の軽減や回復が見込める病気です。8割の人が回復するとも言われます。思い切って休んでから復職を目指すのが現実的な方法かもしれません。

まとめ

統合失調症で働こうという場合は、理解が得られる環境のある職場を見つけたり特性に合った仕事を選んだりすることが大切です。また働きやすさを優先するなら、障害をオープンにして障害者枠の求人を探すのが最も現実的です。

仕事を続けるのが難しい面もありますが、あわてて仕事を探すのではなくしっかり治療してから仕事を探すという選択肢もあります。活用できるサービスや施設も多いので、有効に活用しましょう。

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