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就労移行支援とは?わかりやすく解説【就労継続支援A型・B型との違いなど】

仕事のお悩みQ&A
投稿日:2024年12月29日

障害のある方が就職できる状態に近づいてきたとき、準備や練習として就労移行支援の利用を検討することが多いのではないでしょうか。しかしどのような場所でどのようなことを行うのかわからないと、不安の方が大きくなってしまうものです。

この記事では、就労移行支援とその事業所について解説します。類似の支援との違いやメリット・デメリット、向いている人についてまとめます。就労移行支援の利用を検討中の方、あるいはそのご家族の方は参考にしてみてください。

就労移行支援とは?厚生労働省の定義

就労移行支援とは、「障害者総合支援法」で定められた就労支援サービスのひとつです。一般企業への就職に向けて、障害のある人が必要なスキル・知識を向上させるためのサポートを行うものです。

厚生労働省のサイトでば、「就労を希望する障害者であって、一般企業に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。」と説明されています(「障害者の就労支援対策の状況1 障害者に対する就労支援」厚生労働省)。

就労移行支援事業所の種類

就労移行支援を行う事業所は、どんな人を対象としているかで大きく分けると以下の2種類があります。

  • 総合型
  • 特化型

総合型は障害の種類を問わず支援を行う事業所で、いろいろな障害の人が利用できます。数が多いのはこちらのタイプです。

特化型は、特定の障害に特化したサービスを提供する事業所です。同じ障害を持つ仲間とともに訓練を受けることができます。

就労移行支援と似たサービスとの違い

次に、就労移行支援と似たサービス・支援との違いについて解説します。障害のある方の就労支援は何種類かあり、ややわかりにくいかもしれません。ここではそれぞれの違いを整理します。以下の支援との違いをまとめます。

  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労選択支援
  • リワーク

それぞれの違いを表にすると以下のようになります。

目的対象作業への報酬
就労移行支援就労のための訓練一般企業での就労を希望する障害者なし
就労継続支援A型働く機会の提供障害・難病があり、一般企業への就職が困難な人あり(賃金)
就労継続支援B型働く機会の提供障害・難病があり、一般企業への就職が困難で雇用契約に基づく就労が難しい人なし(工賃)
就労選択支援最適な就労支援の選択就労移行支援・就労継続支援をすでに利用している人、またはこれから利用したいと考えている人なし
リワーク職場復帰に向けたリハビリテーション気分障害などの精神疾患で休職している労働者なし

順に、よりくわしく見ていきましょう。

就労継続支援A型との違い

就労継続支援はA型とB型があり、いずれも一般企業への就職が困難な方に働く機会を提供するサービスです。A型では、利用者は事業所との雇用契約に基づいて就労します。そのため最低賃金以上の給与が支払われるのが特徴です。

これに対し、就労移行支援で行うのは訓練であって労働ではありません。そのため給与は支払われず、お金がもらえるかどうかが両者の大きな違いと言えます。ただし近年給与を支払う就労移行支援の事業所も出てきています。

就労継続支援B型との違い

就労継続支援B型は、一般企業への就職が困難で雇用契約に基づく就労が難しい人が対象です。生産活動を通して「工賃」が支払われます。やはりお金がもらえるかどうかが就労移行支援との大きな違いです。

ただしB型はA型と違い雇用契約を結んでいないため、もらうお金は「賃金」ではありません。そのため賃金に関する法律の対象となっておらず、工賃は最低賃金以下のことがほとんどです。参考に、令和3年度の月額平均月額工賃は16,507円となっています。

就労選択支援との違い

就労選択支援は、就労選択支援A型、B型、就労移行支援、一般就労などのどれが自分に最適なのかを考え選択するためのサポートです。訓練や学びを目的とする就労移行支援とは目的が異なります。現在すでにいずれかの就労支援を利用している人、これから利用しようと考えている人のどちらも利用できます。

就労選択支援でも作業を行うこともありますが、適性やスキルを把握するためです。就労のスキルを向上させるためではない点も異なります。

リワークとの違い

リワークは、気分障害などの精神疾患で休職している労働者に対して職場復帰に向けたリハビリテーションを行うプログラムです。内容は何種類かに分けられ実際の仕事に似た作業も行いますが、集中力を高めることが目的であり働くことには当たりません。

就労移行支援とは対象が異なり、就労移行支援は一般企業への就職を目指す障害者なのに対して、リワークは精神疾患で休職している人となっています。その他、サービスが提供される場所・施設や期間も異なります。

就労移行支援のサービスとは

続いて、就労移行支援のサービスについて具体的に解説していきます。次の点についてまとめます。

  • どんな人が受けられるか
  • どんなサポートが受けられるか
  • どんな人がサポートしているか
  • どれぐらいの期間利用できるか
  • 本当に就職できるか
  • 費用はどのぐらい必要か
  • 必要な手続きと利用の流れ

順に見ていきましょう。

どんな人が受けられる?

サービスを受けられるのは以下に該当する人となっています。

  • 一般就労したいと考えている
  • 65歳未満
  • 精神障がい、知的障がい、発達障がい、身体障がいなどの障がいがある
  • 障害者総合支援法の対象疾病となっている難病等がある

上記4つの条件のうち、上の2つの両方を満たすことが前提です。そのうえで下の2つのいずれかに該当していれば利用できます。なお障害者手帳がなくても、医師の診断などがあれば利用することが可能です。また就職したことがない人でも利用できます。

どんなサポートが受けられる?

自立した社会生活を送るためのスキル習得サポートが受けられます。いくつか例を挙げましょう。

まず、就職に役立つスキルの習得です。たとえば、Web制作スキル、PCスキルなどがあります。習得できるスキルは、事業所によって異なります。

さらにコミュニケーションや対人スキル、ビジネスマナーなどの習得ができます。そのほか日常生活管理の訓練なども行います。

どんな人がサポートしている?

一般的には、事業所は以下のスタッフにより構成されています。

  • 管理者
  • サービス管理責任者
  • 就労支援員
  • 生活支援員
  • 職業支援員

「管理者」は、事業所全体の管理を行います。「サービス管理責任者」は、利用者の個別支援計画の作成やスタッフの指導などに関わります。利用する方が直接やり取りすることが多いのは「支援員」です。「就労支援員」は企業とかかわり就職に関する支援を、「生活支援員」は日常生活上の支援を、「職業支援員」は就職に必要な技術や知識の習得サポートを行います。

どれぐらいの期間利用できる?

利用できる期間は、最長2年までと定められています。しかし2年めいっぱい利用しない人も多く、たとえば私ども就カレワークスでは平均1年程度となっています。

通所の頻度は利用する方それぞれのペースに合わせます。週1日から可能で、最大5日通所できます。1日の利用時間については、システム上は1時間から可能です。ただし一般企業への就職・定着が目的なので、最終的には週4~5日、1日4~6時間が目標となります。なお事業所によっては日数・時間の規則がある場合もあります。

本当に就職できる?

厚生労働省がまとめた「障害者の就労支援について」によれば、令和1年度では利用終了者の就職率は54.7%となっています。さらに終了時の状態に応じて、約20%が就職継続支援A型・B型やその他の事業所を利用しています。

状態が安定していれば一般企業への就職は難しいことではありません。

費用はどのぐらい必要?

就労移行支援を利用する際、月々の負担額は0~上限37,200円です。前年度の世帯所得によって金額が定められており、無料で利用できる人も多くいます。負担額の基準は以下の通りです。

  • 生活保護世帯・市町村民税非課税世帯:負担なし0円
  • 市町村民税課税世帯:負担上限月額9,300円
  • それ以外:負担上限月額37,200円

障害者総合支援法に基づく利用料の1割が自己負担となっています。

必要な手続きと利用の流れは?

利用する場合に必要となる手続きと利用の流れは以下の通りです。

問い合わせ・見学申し込み:方法は事業所によるが電話、問い合わせフォームなど

見学:事業所を訪問して雰囲気など確認。通所した場合と同じ時間に行くのがおすすめ

体験通所:事業所によっては短期間の体験通所が可能。体験のあとに最終的な判断

受給者証申請:住んでいる市町村の役所で申請。申請のサポートのある事業所も多い

利用契約・本通所:受給者証が届いたら契約、通所の開始

就労移行支援を利用するメリット・デメリット

次に、就労移行支援のメリットとデメリットについて解説します。両方を理解したうえで、自分が一番納得できる選択肢を選ぶことが大切です。

メリット・デメリットの順に見ていきます。

メリット

就労移行支援の目的とも重なりますが、企業で働くために必要となる業務上のスキルやコミュニケーション力が身に付くことが挙げられます。

さらに特性により規則正しい生活を送るのが苦手な人もいますが、就労移行支援を受けることで健康管理や生活リズムを安定させられるようになります。またメンタル面でも、自身の障害との付き合い方を学ぶことが可能です。

そのほか就職した後も、定着のためのサポートを受けることができます。

デメリット

デメリットとして大きいのはお金に関する面です。まず、通所の間は収入が得られません。すでに述べたように、就労移行支援で行う作業は労働ではなく訓練なので、報酬がありません。さらに基本的にアルバイトも不可となっています。アルバイトができるなら働けるとみなされ、支援が不要とされるからです。また場合によってはお金を払って通所することになります。

そのほか、一定期間通所する必要があるのもデメリットかもしれません。しかしそれは就職してから通勤し続けるための訓練でもあります。

就労移行支援の利用に向いている人

最後に、就労移行支援の利用に向いている人について解説します。以下の条件に当てはまる人が挙げられます。

  • 1人で就職活動をしているがうまくいかない人
  • 体調や体力に自信がない人
  • メンタル面で不安がある人

1人の就職活動がうまくいかなくても、サポートを受けて必要な準備・就職活動ができます。また体調・体力に自信がなくても、慣らしながら通所日数を増やすなど対処することがが可能です。さらにメンタル面で不安があっても、障害の特性を理解しながら就職に向けて精神面を整えていくことができます。

このように就労移行支援を利用することで、就労に向けて心身を徐々に整えて就職活動まで行うことができます。

気になるなら就労移行支援事業所を見学してみよう

就労移行支援は、ある程度状態が安定してきて一般企業への就職を目指そうという人にとって大変役立つサービスです。徐々に就職に向けた準備を進めることができます。

もちろん「お金のために働かなくてはならないから」と焦ってしまうのは禁物です。通所できそうかどうかまずはよく考えてみましょう。1人で決めてしまわず、医師や家族、周りの人に相談することが大切です。

通所する場合も、事業所に通うこと自体が訓練になります。あまり無理せず通える範囲で自分に合った事業所を探すことが大切です。利用したいと思う方は、近隣の事業所の場所と学べるスキルなどを調べてみましょう。そしてまずはあくまで見学として、通えそうかどうか実際に事業所を訪れてみてください。

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