
うつ病の就労移行支援_どう選ぶ?見学前にWebで候補を2~3か所に絞り込む方法
うつ病の人が就労移行支援を選ぶなら、まず、webで見学候補を絞り込むことが大切です。
うつ病で体調が安定していない状態で、たくさんの見学をこなすのは無理があります。
そのため、Webを確認して、2〜3か所の見学候補を決めましょう。
Webでは、「今の自分に必要な支援」が具体的に用意されている事業所を選ぶことが重要です。
Webで「見学する事業所」を絞り込む

就労移行支援は、事業所により、支援員・カリキュラム・得意分野が異なります。
そのため、見学して自分に合う事業所を選ぶ必要があるでしょう。
しかし、うつ病で体調が安定していない時期に、たくさんの事業所を見学するのは、負担が重すぎます。
見学には、予約・移動・自分の状態の説明などの労力がかかるためです。
まず、ホームページを確認し、見学先を2~3か所に絞り込みましょう。
ホームページで次のチェック項目の記載があるかを確認し、候補に残すかどうか決めましょう。
【見学候補 チェック表】
| チェック項目 | 〇 見学候補にする | △ いったん保留 |
|---|---|---|
| 利用者の声 | □利用前の状態 □受けた支援 □身についたこと | ・就職先や感想だけ |
| 支援員 | □資格 □経歴 □担当する支援が分かる | ・「専門スタッフ」としか 書かれていない |
| 生活支援 | □生活リズム □体調管理 □対人スキル | ・生活支援の内容が分からない |
| 職業訓練 | □学べるソフト □課題・制作物 | ・「AI・ITが学べる」などの記載だけ |
| 利用方法 | □通所日数の調整可能 □通所時間の調整可能 | ・「自分のペース」としか書かれていない |
| 就職実績 | □職種 □働き方 □就職までの道のり | ・就職率などの数字しか分からない |
「いったん保留」にするのは、ホームページの情報が曖昧で、必要な支援を受けられるかどうか判断できない場合です。
まず、「自分に必要な支援が具体的に紹介されている事業所」に、見学候補を絞り込みましょう。
【利用者の声】:「就職先」より「利用前後の変化」を見る

一般的に、Webには「利用者の声」が記載されています。
「利用者の声」で注目したいのは、次の点です。
- 利用して、どのような変化があったか
- 支援により、何を身につけたか
これらを確認することで、利用者が、どのような支援を受け、変化し、就職につながったのか、イメージできるでしょう。
自分に必要な支援を受けられるかどうかの判断につながります。
それでは、利用者の声で、確認したいポイントを、具体的に見ていきましょう。
利用前から就職までの道のりを確認する
利用者の声を読むときは、次の道のりを見ていきましょう。
・利用前の状態
↓
・受けた支援・訓練
↓
・身についた力・本人の変化
↓
・就職先・働き方
例えば、「利用前にどのような悩みがあったのか」「週何日から通い始めたのか」「どのような支援を受けたのか」などが書かれているか確認します。
さらに、支援を受けて何が変わったのかも、確認しましょう。
【例】
- 生活リズムが整った
- 体調悪化の兆候に気がつけるようになった
- 困ったときに相談できるようになった
自分に似ている状態の人が、困りごとに対応できるようになり、合う職場を見つけた事例があれば、参考になります。
その事業所では、自分も必要な支援を受けられるかもしれません。
就職先や感想だけで判断しない
有名企業への就職実績があっても、働き続けているかは分かりません。
また、ある人には「とても合っていた」支援内容が、自分にも合うとは限りません。
そのため、結果だけではなく、支援・訓練・就活の過程もしっかり書かれているか注目しましょう。
自分に近い利用者の声を見る
自分に合っている支援を受けるためには、自分と状況が近い人の事例を探してみましょう。
特に確認したいのは、次の項目が似ている人の声です。
- 利用開始時の状態
- 就労経験
- 希望する働き方、職種
例えば、「週2日の通所がやっとの状態 → 回復 → 就職につながった」という事例があれば、「同じような状態から就職を目指していける」という手がかりになるでしょう。
複数の事例を確認する
利用者の声は、1件だけで判断せず、複数の事例を確認しましょう。
その際、次の点を見てみましょう。
⚪︎ 利用者それぞれに合わせた対応をしている
1人の成功事例だけでは、その事業所の実力は判断できません。
【支援員】:うつ病に詳しい支援員がいるか

就労移行支援を選ぶときには、カリキュラムだけではなく、どのような支援員がいるか確認しましょう。
うつ病の症状、就労経験、希望する働き方は、人により、さまざまです。
一人ひとりの状況に合わせた支援を考えられるスタッフがいることは、大切なポイントです。
有資格者は在籍しているか
保有資格を確認するのも一つの方法です。
【資格例】
- 公認心理士
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
支援員がどのような専門知識を学んできたのかを知る手がかりになるでしょう。
※ただし、資格があるから支援力が高い、ないから低い、とは限りません。
支援員のプロフィール
支援員のプロフィールをチェックしましょう。
- 精神科・福祉・就労支援の経験
- どのような支援をしているか
どのような支援を受けられるのかを知る、手がかりとなります。
一人ひとりに合った支援があるか
うつ病の症状や、仕事で抱える課題は、人によって異なります。
支援員のプロフィールと利用者の声を合わせて確認し、支援員が、それぞれの状況に応じた支援を行っているか、チェックしましょう。
【生活支援】:「働くための土台」を学べるか

安定して働くためには、職業スキルだけではなく、次のような働くための土台作りも大切です。
- 生活リズムを整えること
- ストレスに対処すること
- 対人スキルを磨いていくこと
長く働き続けていくことを考えるなら、土台をしっかり整えられる就労移行支援を選びましょう。
生活支援カリキュラムを確認する
安定して働くための土台を整える支援について確認しましょう。
どのような仕事をするとしても、「健康管理」「日常生活管理」「対人スキル」は、働くための基礎になります。[※]
Webで確認したいのは、次の点です。
- 生活リズムを整える支援はあるか
- 体調を管理する方法を学べるか
- ストレス対処法を学べるか
- 職場のコミュニケーションを学べるか
- 個別面談を受けられるか
具体的なカリキュラムと内容が説明されているかを見ましょう。
[※]独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「採用の決定」
コミュニケーションスキルを学べるか
仕事を続けていくためには、職場の人間関係でトラブルが起きたときの対処法を知っておくことも大切です。
Webでは、次のようなスキルを身につける練習をしているか確認します。
- 相手の話を聞く
- 自分の考えを伝える
- 困ったときに相談する
SSTやアサーショントレーニングなど、職場でのコミュニケーションを実践的に練習できるプログラムがあるか確認してみてもよいでしょう。
SSTは「社会生活技能訓練」、アサーショントレーニングは「自分も相手も尊重した伝え方の練習」のことです。
[※]厚生労働省こころの耳「ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)」
職業訓練ばかり強調されていないか
職業訓練に特化している事業所は、生活支援が手薄になっている可能性があります。
「今の自分に必要な支援を受けられるだろうか」という視点を大切に、選んでいきましょう。
| 生活支援 (webの記載) | 職業訓練 (webの記載) | → 見学候補に残すかどうか |
|---|---|---|
| 〇 具体的 | 〇 具体的 | → 見学候補 |
| 〇 具体的 | △ 薄い | → すでに職業スキルがある人は見学候補 |
| △ 薄い | 〇 具体的 | → 候補から外す |
| △ 薄い | △ 薄い | → 候補から外す |
【職業訓練】:対面で学べるか

職業訓練があるといっても、実際には、eラーニングの提供しかしていない事業所もあるため、注意が必要です。
スタッフが在籍していて、どのレベルまで学べるのか、訓練の内容について具体的に記載されている事業所を選ぶ方が安心です。
誰から、どう学ぶのか
Word、Excel、PowerPointなどを学べると書かれていても、指導方法は事業所によって異なります。
次の点も確認しましょう。
- eラーニング中心か、対面指導もあるか
- 個別指導を受けられるか
- スタッフの専門性
専門スタッフの対面指導が受けられて、分からないところを質問できる環境が安心です。
何を、どこまで学べるか
「ITスキル」などの言葉だけでは、身につけられるスキルの内容やレベルまでは分かりません。
次の点を確認しましょう。
- 使用するソフト・ツール
- 基礎・応用などの習得範囲
- 実務を想定した課題
「学んだスキルを就職に生かせるか」という視点が大切です。
【個別支援】:症状に合わせた利用ができるか

うつ病の症状や体調に合わせて、通所日数や訓練内容を見直していけるか、確認しましょう。
「あなたのペースに合わせる」だけでは判断できない
次のような抽象表現だけでは、どのような利用ができるか分かりません。
× 一人ひとりに寄り添います
× 無理のないペースで進めます
× 柔軟に対応します
利用方法が具体的に記載されている
具体的な記載があるか確認しましょう。
- 週何日から利用できるか
- 午前・午後のみの利用ができるか
- 通所日数や時間を段階的に増やせるか
- 在宅訓練に対応しているか
自分の状態に合わせて始められることは、通所を続けるための重要なポイントです。
【実績】:就職実績は数字と内容を確認する

就職率や定着率はもちろん参考になります。
しかし、数字だけでは、どのような就職につながっているのかまでは分かりません。
見るべきポイントを確認していきましょう。
数字から見るべきポイント
就職率や定着率と合わせて、次の項目も確認できるとよいでしょう。
- 集計期間と対象人数
- 就職した職種
- 一般雇用か障害者雇用か
- 利用開始から就職までの期間
希望する就職に近い実績があるかがポイントです。
数字のほかに見るべきポイント
実績を見るためには、数字のほかに、次のポイントも確認しましょう。
- どのようなスキルを身につけたか
- 本人に合う仕事に就職できたか
- 就職までにどのような支援を受けたか
実績についての記載を見て、自分に合う就職につながりそうか判断していきましょう。
比較表を作って見学候補を2~3か所に絞ろう
ここまで確認した内容をもとに、気になる事業所を比較してみましょう。
ホームページをみながら、〇・△・×をつけていくと、自分が見学したい事業所を絞り込めるでしょう。
【比較表】
| 確認すること | A事業所 | B事業所 | C事業所 |
|---|---|---|---|
| 自分と近い利用者の声がある | |||
| 支援による利用前後の変化 | |||
| 支援員の資格・経歴・役割 | |||
| 生活・体調管理のための支援について | |||
| 症状に合わせた利用ができるか | |||
| 職場のコミュニケーションスキルを学べるか | |||
| 職業訓練の内容・レベル・指導方法 | |||
| 就職実績の数字と中身 |
〇:具体的な情報がある
△:情報の記載がない
×:記載がない・自分に合わない
ただし、全てが〇の事業所を探す必要はありません。
自分が重視する項目に〇が多い事業所をピックアップしていきましょう。
最終的に、見学する事業所を2~3か所に絞り込みます。
効率よく見学することで、相性がよい事業所を選び、就職へとつなげていけるでしょう。
まとめ|自分に必要な支援がある事業所を見学しよう
うつ病で就労移行支援を探しているなら、まず、Webで見学候補を絞り込みましょう。
まず、自分に合う支援がある事業所を、2~3か所選びます。
- 自分に近い利用者の実績がある
- うつ病の人に応じた支援ができる
上記を確認するために、記事でご紹介したポイントをチェックしていきましょう。
見学候補が絞れたら、実際に足を運び、相性がよい就労移行支援を選びます。
自分に合う就労移行支援事業所なら、安心して就職を目指していけるでしょう。









